(プロメテウスの罠)原発のごみ:21 私たちの問題なのだ
要旨:
大阪大学准教授の今岡良子(51)は昨年から、中古のカメラ付き携帯をモンゴルに送る運動を始めた。モンゴルでの使用済み核燃料の処分場計画に同国の青年レンスキー(30)とともに反対しているが、その活動の一環だ。
昨春、同国南部のウラン採掘場近くで、家畜の突然死や奇形が相次いでいることを聞いた。
化学薬品を使った採掘による水や土の汚染が原因との見方があった。それで、家畜の突然死などがあったら、とにかくそれを写真に撮ってほしい、と訴えている。
訴訟にする時や市民に訴える時のための証拠にしようというのだ。
集まったのはまだ40個ほど。でも、日本にも、モンゴルのことを心配する人がいることが伝わるとも考えている。
核燃料サイクル問題を長年追及してきた自民党衆議院議員の河野太郎(こうのたろう)(51)も、東電の原発事故のあと、モンゴルの処分場計画を知った。
「経済産業省はこっそり話を進めていた。国民に対する背信行為だ」
河野はいま、経産省の原発再稼働・核燃料サイクル維持の路線がより露骨になっていると感じる。
昨年12月6日、経産省はエネルギー政策の中長期の方向を示す「エネルギー基本計画」案を総合資源エネルギー調査会の分科会に示した。
原発維持路線を明確にし、核燃料サイクルも「着実に推進する」とした。六ケ所再処理工場の竣工(しゅんこう)や高速増殖炉「もんじゅ」の課題への対応も「着実に進める」という。
河野は今年1月29日、共同代表を務める超党派議連「原発ゼロの会」の記者会見で、この計画案を真っ向から批判した。
「誰が見ても破綻(はたん)している核燃料サイクルを、何事もなかったかのように推進するというのは、世の中を愚弄(ぐろう)している」
安倍政権は2月25日、政府案を決めたが表現の微修正にとどまった。
コンセントの向こう側。原発の燃料がどうつくられ、原発がどのように建てられ運転され、原発のごみはどうなっていたのか。私たちはあまりに知らなすぎた。
河野は原発事故のあとに出した本で訴えている。
「これはあなたの問題なのだ。あなたが理解し動き、情報を発信する、それが大切なのだ」
(小森敦司)
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