モンゴルの使用済み核燃料処分施設の状況 モンゴル緑の党 元党首 L・セレンゲ
本日、私たちは原発の危険から地球を救う、重要な歴史的なことを共に考えたいと思います。私たちはこの歴史的な出来事の証言者であり、創造者でもあるのです。では、皆さんにモンゴルに使用済み核燃料の処分所施設が建てられることについて、また原子力発電所の建設や、ウランを採掘する企画について今どの段階に来ているかなどについて話させていただきます。
【最初の条約】
2010 年9 月にアメリカのエネルギー省副長官ポネマン氏がモンゴルを訪問した時、モンゴルに使用済み核燃料の処分所施設の計画について話をし始めました。それから5 ヶ月後、2011 年2 月に日本、アメリカ、モンゴルの代表たちはアメリカ、ワシントン市で会談し、最初の条約の合意をしました。アメリカと日本、モンゴル3 ヶ国の間に非公式な条約が合意されたことについてアメリカの Global Security Newswire” 雑誌が、2011 年3 月30 日の号で報道しました。また日本の“毎日新聞”もこの記事について記しました。その後、モンゴルから核燃料を輸入したいということで、アラブ首長国連邦がその条約に同意しました。2011 年7 月上旬、アメリカのエネルギー省副長官ポネマン氏は、当時の日本経済産業省大臣万里海江田氏に2011 年以内にこの使用済み核燃料の処分所施設について計画を承認することを求めた同意計画書を送りました1。
【モンゴル科学者の意見】
モンゴルの科学機関に長年務めていたあるひとりの科学者がモンゴルの日刊新聞の記者会見で発言した内容を紹介します2。「日本の約50 基の原子力発電所から出る膨大な核廃棄物がある。その核廃棄物を特定の期間にモンゴルのゴビ砂漠に埋蔵することが可能で、海外の核廃棄物が母国モンゴルの土地に埋蔵されるのはモンゴルの経済性の安定化につながる。もし核廃棄物を母国モンゴルの土地に埋蔵すれば、モンゴルの1 年間に使う電気量を100 年間ぐらい供給する可能な原子力発電所を無料で建ててくれる」ということです。
【モンゴル反原発の活動】
モンゴル国会議員の中に、使用済み核燃料廃棄物は膨大な利益を得られるビジネスだといい加減に話す議員が少なくありません。モンゴル人の権利と国の独立、保安より価値があるというビジネスとは何でしょうか。モンゴルの土地に日本、韓国、台湾の原子力発電所の核廃棄物を埋蔵することについて Global Security Newswire、毎日新聞、yodo News、イズベスチャ日刊紙などの報道局によって連続的に報道されました。そのお陰で、モンゴルのみどり党の私たちはモンゴルに原子力発電所の核廃棄物を埋蔵することに反対し続けて来ました。私たちは5ヶ月間に合計20回ぐらい核燃料廃棄物を埋蔵することに反対した記者会見を行いましたが、モンゴル国内全テレビ局と新聞、インターネットなどマスコミによって報道されました。また核廃棄物を埋蔵することに反する何百万人の仲間がFacebook を通して集まりました。モンゴルの緑の党は、3.11 の福島第一原発事故から3 カ月目の記念日として6月11日に首都ウランバートルの中央広場で原子力発電所建設、核廃棄物の埋蔵することに反対を求める署名を行いました。8月にアメリカの副大統領ジョセフ・バイデン氏がモンゴルを訪問したときに、モンゴルの緑の党は他党と民間運動会の協力で、核廃棄物を埋蔵するアメリカ計画に反対する運動を行いました。2011年9月11日に福島第一原発事故から6カ月後の記念日として“核の危険のないモンゴル国のために”という国民運動を展開し、反原発の約6000人の署名を集めてモンゴル国大統領と国会議長、首相に反原発を示した手紙と共にに送りました。
【モンゴル政府の動き】
私たちが反原発に努力してきた結果、モンゴル国大統領は2011年9月13日に“モンゴル国の土地に海外からの核廃棄物の埋蔵を禁止する法令”を出しました。一週間後、第66回の国連総会にてモンゴル国は海外からの核廃棄物をモンゴルの土地に埋蔵させないと宣言しました。しかし、モンゴル政府、日本、フランス、中国、アメリカ、ロシア連邦、オーストラリア、カナダなどの国と原子力分野で連携する条約とウラン採掘、原子力発電所建設計画を中止することはなかなか進みません。
【静かに進むモンゴルの核エネルギー開発と日本】
モンゴルは原子力エネルギーの利用と放射性物質資源を採掘する目的で、2009年、“原子力エネルギー利用法”を決定しました。この法律を国会の常任委員会を通さないで、たった1日で承認したといえばだれも信じられないでしょう。それで、この法律の決定当日及び2009年7月16日に、当時のモンゴル首相はモンゴル原子力庁長官と共に日本の麻生太郎首相を訪問して会談し、日本資源エネルギー庁とモンゴル間の原子力分野で連携する覚書を交わしました3。