2017年、モンゴル国に原子力発電所が登場?
2011年8月12日号 p.4
10日、モンゴル国原子力エネルギー局が日本原子力研究開発機構と協力して、ウランバートル市で二日間のセミナーを共催した。原子力エネルギー利用はモンゴル国にとって新しいものである。特にグローバル化している現代、核エネルギーは世界の注目を惹き、問題多い課題である。日本で発生した巨大地震と大津波による原発事故により、モンゴル国に原発が必要かという疑問が出ている。
このセミナーはモンゴル国に原発を建設するための日本との協力、日本がどう支援するか、モンゴル政府は何を調査すべきか、など今後の措置について意見を交換するのが目的であるという。
セミナー開会に際し、城所日本国大使が挨拶。大使は「モンゴル国が原子力発電所を建設することについて、我が国と協力し経験シェアすることを嬉しく思います。モンゴル・日本両国の友好関係が今後も原子力分野にも拡大する表われがこのセミナーです」と語った。
このセミナーで日本原子力開発機構の核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの千崎雅生センター長が講演し、セミナーをモンゴル国原子力エネルギー局のTs.ダミディンスレン副局長が司会した。「原子力平和利用と核不拡散(the peaceful use of nuclear energy and non-proliferation)」というテーマで意見交換した。
世界の31カ国に436の原子力発電所がある。モンゴル国でも建設できる条件がある。ウランの埋蔵量が豊かな国だからだ。エネルギー供給を充足し、経済負担を軽減し、自然環境に比較的優しい原子力発電所の建設の可能性を学者たちが研究してきた。
ダミディンスレン副局長は「我が国としては、2012年に原子力発電所建設を開始する予定です。よって、日本原子力研究開発機構及び国際原子力機関と協力して、このセミナーを共催しています。計画通りに実施されれば、2017年に竣工予定です。原発を建設する前に、核専門家を育成することが重要になっています」と述べた。
原発建設には、地震の最少頻度地域、水供給の便が良い、インフラ開発など19の要件が必要だ。これらの条件が整えば、原子力発電所を建設できる。そのために研究中だが、昨年、モンゴル東部を調査したという。大小の規模の原子力発電所を何処に造るかを研究する。人口が多い地域には大規模発電所を、人口が少なくてインフラが未開発な地域には小規模発電所を建設した方が良いと、出席者らは語っている。つまり、モンゴル国は大小の発電所を使用した方が良いと見ている。セミナー出席者たちは核不拡散条約を守り、特に原発の安全性に注意したいと強調した。
学者らはドルノド県とドルノゴビ県に原子力発電所を建設した方が良いと判断し、研究してきた。人材育成については、モンゴル国立大学が配慮し、修士と博士レベルで先進国に派遣して育成しているという。
日本原子力研究開発機構の核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの千崎雅生センター長:
――モンゴル国はこれから原子力利用を考えていますが、それに対して、日本は経験のある国としてモンゴル国にどんなアドバイスがありますか?
原子力は今、国際的なエネルギー・セキュリティの確保、それから地球温暖化にとって非常に重要なエネルギー資源だと思います。福島で原発事故がありましたが、安全対策は非常に重要だと思います。その安全対策をしっかりすること。それからもう一つは今日のセミナーのテーマにもあったわけですが、核不拡散・核セキュリティの問題にしっかり対応することによって子力発電所の信頼性が増します。そういう意味でモンゴル国は核不拡散に非常に熱心でありますので、日本は色んな点で原子力分野、あるいは核セキュリティ・核不拡散の分野で支援できるんではないかと思います。
――最近、日米間でモンゴル国に核処分場を建設する計画があるということが『毎日新聞』で報じられましたが、これについて?
それについてはですね、詳しい話は知りません。私は核不拡散・核セキュリティの専門家ですので、具体的に使用済み燃料をどうするかとか、モンゴル国がどう考えているか、などについて承知していません。
――現在、日本は核廃棄物を何処に貯蔵してますか、どのように埋却してますか?海外で貯蔵していますか、あるいは日本で、ですか?
原子力の使用済み燃料についてはですね、日本は原子力発電所の敷地内で貯蔵しています。使用済み燃料の貯蔵技術というのは国際的にも非常に高いですので、非常に安全に貯蔵できています。