台湾:IAEA加盟、必要に 行政院原子力委・放射性物料管理局、邱賜聡局長
台湾行政院原子力委員会の邱賜聡・放射性物料管理局長(58)が毎日新聞の取材に応じた。邱氏は、東京電力福島第1原発事故を機に世界の原子力の安全を確保するため台湾の国際原子力機関(IAEA)加盟がより必要となっていると訴え、IAEAに対し、多国間や地域でウラン濃縮や再処理、核廃棄物処分などを管理する枠組み作りを急ぐよう求めた。【台北で栗田慎一】
放射性物料管理局は、台湾の「核ゴミ」問題に対処する原子力委の専門部門。
低レベル放射性廃棄物の二つの最終処分場の建設計画について、韓国・慶州市で来年にも完成予定の中低レベル放射性廃棄物最終処分場の進め方などを参考にしたとし、「台湾はIAEAなどの国際的な基準にものっとっている」と強調した。
中国沿岸に近い離島の予定地は「島全体が花こう岩でできており、地下施設の安全性は担保できる」とし、予想される中国の反発について、中国も沿岸に原発立地を進めてきたと指摘。中国とは1992年から原子力の安全情報を交換する協議を定期開催してきたといい、今後の協議で台中間の原子力安全協定の締結を目指していることも明らかにした。
◇核廃棄物処理、多国間枠組みを
また、福島原発事故後に「世界は原子力技術や安全情報の国際的共有が重要との認識にいたった」とし、「IAEAへの台湾加盟を日本なども後押ししてほしい」と語った。
米国と日本がモンゴルで進めている国際的な核廃棄物最終処分場の建設構想については、興味を示しながらも「モンゴル政府は(構想を)否定したので答えるのは難しい」と述べるにとどめた。
その上で、「IAEAは多国・地域間での処分等の枠組み作りを率先して進めてほしい。国同士で個別に取り組むにはもはや限界にきている」と指摘した。
台湾は71年に国連とその機関から脱退した後、中国の反対で国連への再加盟を阻まれてきた。例外は、01年11月に加盟承認された世界貿易機関(WTO)だが、「国」としてではなく、「関税地域」として登録された。
毎日新聞 2011年9月1日 東京朝刊